株式会社フライミープロパートナーズ
山根大三郎
代表取締役社長
BtoB家具インテリア業界の再編に挑む
営業の本質を追求し、クライアントに付加価値を提供し続けたい
ーフライミープロパートナーズの業務内容を教えてください。
法人のお客様に家具を販売するBtoBに特化した営業会社です。親会社であるフライミーが運営するECサイト「FLYMEe」を活用した新しい営業のカタチを展開しています。主にオフィス、ホテル、商業施設、学校などに家具や照明、小物をトータルコーディネートし納品しています。
ーどんな会社が競合に挙がりますか?
家具の販売会社や総合商社などは何十社もありますね。ただ、弊社以外にプラットフォームを持っていて営業に活用している会社はないので、競合についてはそこまで意識していません。
ー『FLYMEe』というプラットフォームを持っていることが強みになっていると。
そうですね。BtoBの業界に対しても絶対的な優位性があると思っています。BtoBの家具を取り扱う商社や販売会社は何十社とありますが、どの会社が何を扱っているのか分からない、会社によって取り扱いブランドの縛りがある、この辺りも業界の課題の一つだと思っています。しかし、FLYMEeでは1000を超えるブランドを横断して、レジデンス向けからコントラクト向けまで様々なジャンルの家具を見られます。FLYMEeというプラットフォームがあることが、我々のサービスレベルの底上げになっていますし、どこで何を扱っているかわからないという業界の一つの課題解決にも直結していると感じています。
今までは、プロジェクトが発生しクライアントが家具選定を行う際に、いくつかの営業から提案を受けその内容を参考に家具選定を進めるということが通常でした。その場合、営業のスキル、経験、感性、会社の特色といった変数でサービスレベルが左右され、クライアントが求める提案に行き着くまでのコミュニケーションコストが多くかかっていたと思います。
FLYMEeは単にECサイトではなく家具インテリアのプラットフォームとしても認知されていることで、クライアントがサイトからプロジェクトに合う適切なプロダクトを柔軟に検索できることに一番の価値があります。その上で営業が足らない情報やトレンド、組み合わせの適正、コーディネート等を提案する事で、従来のコミュニケーションコストを大幅に削減し、クライアント側の生産性と営業側の生産性の向上に大きく寄与していると思います。
そういった理由から我々が生み出すタイムパフォーマンスは、業界の課題解決に直結していると確信しています。
海外ではプラットフォーマーがBtoBマーケットの主導権を握るのが既定路線となってきています。これから同じ現象が日本で起きてくるとすると、家具インテリアの法人向け市場を担える会社はフライミーだと思っていますし、そこに使命感も持っています。また、業界の構造的にフライミーの立ち位置を作れる会社は二度と出てこないと考えています。我々は2022年3月に設立した新しい会社ですが、「フライミープロパートナーズに優位性がある」と捉えた業界のトッププレーヤー達が移籍してきているのもそれらに対してのエビデンスの一つだと思います。
ーすでに、家具業界のトップ営業プレイヤーが集まっている現状があるわけですね。フライミープロパートナーズは、次の採用フェーズに進んでいるということでしょうか?
はい。属人的な要素が強い業界なので、中長期での持続的な成長を考えると、世代交代でトッププレーヤーの再現性を担保していく必要があると思っています。そのため経験者だけではなく、ジュニア採用に重きを置き、人材育成に力を入れています。家具インテリア業界における営業会社の現状は、顕在化しているニーズに対してアプローチしている企業が多く、人材やサービスが育たない、発展していない状況です。顕在化しているニーズというのは主には価格と納期です。例えば、A社は納期が早い、B社は他社より安く商品を提供できるなど、表面的な競争が多く提案力やその他のサービスが育っていません。
本来は、クライアントの潜在的な要求にアプローチし、何を実現したいのかを把握してサービスを提供するべきなんです。オフィスひとつとっても、「コミュニケーションを活性化する場を作りたい」「帰属意識が向上する空間にしたい」など、各社に課題がありそれを実現するために納期や価格以外の軸で潜在的なニーズがあるはずです。もちろん最適な価格と納期は大切な軸として捉えていますが、私たちは属人的な営業を通じて潜在ニーズを把握し、クライアントの課題解決に付加価値を与えられるサービスを提供しなければならないと思っています。この思いに共感し、同じ熱量で一緒に取り組んでくれる方を募集しているところです。
ーお客様には、具体的にどんな提案をしているのでしょう。
クライアントはプロジェクト毎の大きな目的は持っていますが、その目的を実現するための一つの要素として家具インテリアが大きな役割を担うことが出来ることを伝えていく必要があると思います。最適なレイアウトと組み合わせ、機能や細部にまでこだわったデザイン、素材とカラー、小物を駆使したトータルコーディネート。空間の魅力を最大限に押し上げる力を家具インテリアは秘めています。それらをロジカルに、説得力ある提案を心掛けています。私たちがクライアントの目標達成に熱意を持ち、潜在的なニーズを言語化しながら最適解を見つけていく。ここに我々の存在意義があるんです。
例えば「ポップなオフィスを作りたい」という要望があるとして、「ポップ」の捉え方は人によって違います。フライミープロパートナーズは、あらゆるインテリアのシーンの要素分解を行っており、特徴、素材、トーンを抽象化する事で、クライアントとのコミュニケーションロスを無くし、クライアントが最短で最適解を見つけられるよう努めています。
FLYMEeで取り扱う家具の種類が多い事も優位性の一つですが、それらをプロジェクト毎に最適に組み合わせたトータルコーディネート提案を提供出来ることが我々の強みでもあります。
ー他社と比べて、フライミーが扱う家具の種類は多いのですか?
FLYMEeは、日本一の取り扱い数です。そして昨今はオフィス、学校、ホテル、商業施設、各分野で家具インテリアへのニーズが多角化しています。コロナ以降の働き方、空間の使われ方が大きく変化した事で新たに顕在化したニーズとして、家庭で使われるような家具を導入し住空間とシームレスに繋がる空間作りが加速しています。この状況下で、取り扱いできる商材が限られていると優位性がないんです。FLYMEeはBtoCの商材が多いと思われているかもしれませんが、実はこれまでBtoBでしか知られていなかった商材も多く扱っています。BtoC、BtoB向けの商材を垣根なくFLYMEeで網羅して見れる事が唯一無二の強みになっています。
個のスキルに頼る営業組織から、再現性を重視した組織営業へ
ー山根さんがフライミープロパートナーズの社長に就任した経緯を教えてください。
前職は家具メーカーの営業職でした。もともと独立志向があったので、いずれは自分で家具インテリア業界で営業を軸にした事業を展開したいと思っていたんです。と同時に、ECプラットフォームで家具を販売する仕組みがあったらいいなと思っていて。そんな時にFLYMEeというサイトがあると知ったんです。今から6年ほど前のことです。「僕ならこのプラットフォームを活用して、もっと多角的に事業展開できますよ」って自らプレゼンに行こうと思うくらいフライミーに注目していたし、魅力を感じていたんです。
3年前に本格的に独立準備を進めていた頃、フライミーと前職での契約の話があり、そのタイミングで坂本社長に会ったんです。初めは契約に向けての話でしたが、業界の展望や課題に対しての話をしていく中で共感がとても多く、坂本社長の思想にも魅力を感じました。またその際に伺ったフライミーのビジョン・ミッションに惚れたのがきっかけです。自分が培ってきたノウハウと坂本社長の思想、FLYMEeというプラットフォームを掛け合わせたら、私が個人で展開していくよりもはるかに大きな社会貢献や業界再編を見据えた事業活動ができると確信し、フライミープロパートナーズの設立に至りました。
ーECプラットフォームを運営しているフライミー(本社)と営業会社のフライミープロパートナーズでは、在籍する社員の性質が違うと思います。山根さんはミッション・ビジョン浸透のために、どんな姿勢で取り組んでいますか?
大きな違いとして、本社はEC事業で仕組みが基盤となります。対して我々は営業組織で人のコミュニケーションが基盤になります。この時点で社員に求めるスキルや素養が変わってきます。行動指針は大きくは変わりませんが、事業体は違うので正しく示していく必要があると思っています。
グループとしてのミッション・ビジョンは1つで共通です。そうなると人種は違えどフライミーが創業以来培ってきた文化やコンピテンシーを、自身が一つのロールモデルとなりフライミープロパートナーズに正しく落とし込んでいくことが重要だと思っています。また、ビジョン・ミッションに沿った採用活動を行い、最適な評価制度を考えていくことが私の一つの重要な役割だと思っています。
会社の設立当初は、売上の拡大に重きを置きそれを加速させるためのインセンティブ制度と、本社とは異なった制度設計でした。カルチャーの観点で見ても売り上げが上がれば良いといったような本社とズレたカルチャーが醸成されていくリスクがありました。それを免れるために今の評価制度は定量評価軸の売上が5割、あとはコンピテンシーを基準にした定性評価となっています。こういったビジョン・ミッションやカルチャーとズレない制度設計を構築することで適切な事業体を築くよう心がけていますし、そういった制度を設け、発展させていく事で個に頼る再現性の低い組織では無く、統制が取れた面で事業展開できる組織になっていくと考えています。
営業とそれを支えるそれぞれの役割を持ったメンバーが、専門性を活かし最大限のパフォーマンスを発揮できる組織と環境づくり
ーこれからフライミープロパートナーズが必要とする人材像は?
ひと言でいうなら、熱量や野心のある人です。熱を向ける方向は様々ありますが、まずは家具インテリア業界に対して「提案型営業を極めたい」「新しいサービスを作りたい」「良い商材を発信、広めていきたい」「より良い空間を提案していきたい」など何かしらの熱量を持っていてほしいし、「将来こうなりたい」「◯◯を目指したい」等の野心も持ち合わせていてほしいです。
家具インテリア業界の課題の一つですが、ブランドとして知られているところがほとんどないし、どこでどんな家具が購入できるのか認知されていません。しかも、この数年でインターネットの世界がガラリと変わって、ECの参入には大きな資本が必要になってきています。一つのブランドやショップができることが限られてきて、日本のものづくりが維持できなくなっているんです。また、社会的な流通の課題から大型家具の流通が劣化してきています。この環境にあっても家具インテリア業界がサステナブルであるために、業界を俯瞰して共同体的に捉えて、中長期視野で取り組む必要があります。しかし、業界を見ていても、なかなか中長期視野で取り組むプレイヤーは現れません。こんな状況下で、フライミーには業界の課題に取り組む社会的ニーズがあると考えているんです。そのために売上規模を上げて、影響力を維持していく必要があると考えています。
こういったフライミーグループとしてのミッションを踏まえて弊社で必要な人物像を伝えると、仕事や業界に対しての熱量や、ビジョン・ミッションへの共感、自己実現に向けての野心は持っていてほしいですし、能動的にタスクをこなし、アイデアを出し続けてくれる人達と仕事をしていきたいです。これは新卒採用に対しても同様で、達成していきたいこと、実現したいこと、自分の価値を高めていくことにモチベーションがある人たちと、一緒に仕事をしたいと思っています。
ー求人中の職種は?
弊社は生産性を意識した縦割りの組織なので様々な職種で募集していますが、少しここに至った背景について触れさせてください。家具インテリア業界の課題の一つでもありますが、営業はなんでもできる人、一人ですべてこなせる人が評価される業界なんです。自分で案件を取ってきて、自分で提案書と見積書を作って、現場に行って納期管理をして、アフターフォローまで担当できるのがスーパーマンであり、評価される。ただ、この働き方を正当化すると、各分野の専門性が伸びていかないことで生産性が上がらないことと、単純に業務過多で有能な人材が業界を離れていってしまうことが一つの課題になっています。
我々は従来の業界構造で営業が担っていた領域を、営業職、お客様への提案を担当する家具インテリアプランナー、事務を担当するセールスサポートに分けています。フライミープロパートナーズの強みでもある提案力は、家具インテリアプランナーが担当しています。営業職は案件を取ってくること、単価を上げること、高い勝率で案件クロージングすることが一番の役割だと考えています。インテリアプランナーは提案力を引き上げ、サービスの出力を平準化していくことを目的としています。セールスサポートは営業の生産性を高めていくことに重きを置いています。
今はすべての職種で人材を募集中です。どの職種も専門性を活かして効率よく取り組める環境が整っていますし、部署を横断したコミュニケーションも活発なので、求職者の視点から見ると働きやすい環境だと思います。自分の領域に集中し、本来の専門性を追求し伸ばしていく。自分の価値を上げるための環境がありますし、会社はそれを支援していくことで、理想に近い職場環境を築いていけると考えています。また、それを循環させ続ける事が私の役割だと思っています。
ー受注からアフターフォローまで、一人で全部やりたいという人は合わないですね。
実は、設立当初に参画してくれた営業メンバーの中に、自分で全てを担当しないと気が済まないという人もいました。これまで職能で分けた環境に身を置いたことがないので当然ですし、よく言えば責任感の表れなので気持ちもわかります。ただ、それだと何も変わりません。我々のビジョン・ミッションを遂行し続けていくためには生産性の高いハイパフォーマーの集団でなければなりません。そのためのカルチャーや制度、仕組みがあるわけでそれらに順応していくことがハイパフォーマーへの最短の道です。
結果として先に述べたメンバーは、現在は前職と比べ残業が減り、売上と給与が上がった事でライフワークバランスも改善され、趣味も増えたと言っています。これはとてもうれしい声です。すべては生産性が向上したから叶った事で、今は業務整理された社内環境に満足してくれていますし、現在も営業トップで活躍してくれています。この様に弊社には役割に集中できる整った環境と、目指すべき姿に近いロールモデルが各方面に何人もいます。なので旧来の業界に染まった「全部やりたい」という方のマインドも変えたいし、変わると思います。こういった我々の取り組みも、業界再編の一環だと捉えています。
レガシーな家具業界で今しかできない経験を
ー山根さんの未来のビジョンを教えてください。
まずはBtoB家具インテリア業界でトップになりたいですね。それは結果的にクライアント側で最適解に近い存在になっているといえると思うんです。フライミープロパートナーズに依頼したら自分たちで得られない付加価値を得られた。そんなサービスを提供し続けられる存在になりたい。
本社にも我々にも、短期間で大きな利益を上げてイグジットするような思想はありません。長い時間軸で考えて、業界に確かな足跡を皆と残していきたいです。
ー家具インテリア業界の負を解消しながら、事業成長を目指す。難しい舵取りですね。
それは表裏一体だと思っているので難しいとは感じていないです。私の軸は、衣食住の住環境を押し上げて行くために、クライアントやメーカー、配送業者様等が抱える負を最短で取り除いていくことにあります。この業界は、歴史的、政治的な背景があって複雑な構造になってしまっていますが、どこで何を買えるのか分かりやすく認知されて、欲しいものが正しい価格で手に入る業界にしたい。シンプルにしたいんです。「より多くの人々に感性的豊かさを届ける」というフライミーのミッションに取り組んでいくだけです。結果的に負を解消していることがニーズにつながり、売上につながると思っているからです。
ー求職者にひと言お願いします。
フライミーグループを見ると、家具インテリア業界が好きで、何か爪痕を残したいと思っている人や課題の解決に真面目に取り組む人が多くて、目線を揃えて仕事ができていると感じるんです。今から自分がやる業務が、ミッションのどこに繋がっているのかを理解しているんですね。この環境はなかなか味わえないと思うし、モチベーションの一部になると思います。また、「ここで働きたい、成長したい」と感じてもらえる環境が整っていると思います。ビジョン・ミッションに共感を持ち、自己実現や夢、野心をもっている人にぜひ応募してほしいと思います。
この業界は間違いなく今大きな変革期にあります。レガシーな業界だからこそ、残していく部分、改善していく部分、両方の側面から見た最適解を見つけながら一緒に爪痕を残し、更に魅力的な業界にしていきましょう!
(インタビュアー 竹田芳幸、ライター 石川歩)